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高木の神 出雲制圧

高木の神 (高御産巣日神) (Ⅱ)

(たかみむすひのかみ) 


出雲に国譲りを迫る

  
出雲への天の若日子の派遣が失敗したので、
  高天原では再び諸神の相談があって、
  建御雷の神の派遣が決定しました。

天照大御神は建御雷(たけみかづち)の神に
天の鳥船の神を付けて遣わしました。

この建御雷の神と天の鳥船の神は出雲の国の伊那佐の小浜に天降(くだ)りして、
十掬剣(とつかつるぎ)を抜いて、さかさまに波頭に刺し立て、
その剣の前に胡坐を組んで座り、大国主の神に尋ねて言いました。

「天照大御神、高木の神の命令で、尋ねるために私を遣わされた。
『大国主の神が治める葦原の中つ国は我が御子が治める国ぞ。』
との仰せである。
そこで、なんじの心はいかがであるか。」

大国主の神は
「私めは申し上げますまい。
我が子の八重事代主(やえことしろぬし)の神が答えるでしょう。
しかし、我が子は鳥の遊びをして、魚を取っているので、
御大(みほ)の前(さき)に行って、まだ帰って来ません。」
と答えました。

そこで建御雷の神は、天の鳥船の神を遣わして、
八重事代主の神を引き立てて来て、お尋ねになった所、
八重事代主の神は、父神に語って言いました。
「畏れ多い。この国は天つ神の御子に献上しましょう。」

と言って、そのまま船を踏みつけて傾かせて、
青い柴で作った神域を示す垣根を作り、
天の逆手(呪術的な拍手?)を打って、
身を隠されました。

                            (事代主の服従の巻)



   この後、建御雷の神はもう一人の御子とも対決して勝利し、
   ついに出雲の降伏が決定しました。
   建御雷の神はその後、高天原に戻って来ます。


天降りする神の変更

そこで、報告を受けた天照大御神と高木の神が、
太子(ひつぎのみこ)の天の忍穂耳(おしほみみの)命に言われました。

「今、葦原の中つ国を平定したとの報告がありました。
以前そなたに、この国を与えましたが、
これから天降りして、治めなさいませ。」
と。

そこで太子の天忍穂耳命が答えて申し上げました。

「私めが天降りしようと支度をする間に、
子供が生まれました。
名前は天ニキシ国ニキシ天津日高日子番(あまつひこひこほ)の
ニニギノ命と言います。
この子を降臨させるのがよろしいかと思いますが。」

この御子は天の忍穂耳命と
高木の神の娘の萬幡豊秋津師比賣命
(よろずはたとよあきづしひめ)とが結婚して生まれた子供で、
長男は天の火明命(あめのほあかり)。
次男が日子ホノニニギの命です。

天の忍穂耳の命の提案が受け入れられました。

そこで、天の忍穂耳の命はニニギノ命に勅命を伝えて、
「この豊葦原の水穂の国はそなたが治める国であると言って
お与えになった。
だから、命ぜられた通りに天降りしなさい。」
と言われました。

                (ニニギノミコト  天孫の誕生の巻)


ニニギノ命の天降り


そこで、ニニギノ命は命ぜられた通りに天降りをするのですが、
これから行こうとする道の途中の天の八街(やちまた)で、
上は高天の原を照らし、
下は葦原の中つ国を照らす神が立っていました。

それを見て、天照大御神と高木の神
アメノウズメの神に命じて言われました。

「そなたは力の弱い女であるが、敵対する神に会っても、
面と向かって気後れしない神である。
だから、そなた一人で行って尋ねなさい。
『我が御子の天降りする道の真ん中に立ち塞がっているのは
どなたか。』と。」

そこで、アメノウズメの神が行って尋ねました。

すると、その神が答えて言いました。
「私は国つ神、名は猿田彦の神です。
こうして出て来たのは、天つ神の御子が天降りなさると聞いたので、
道案内をしようとして、参上しました。」

こうしてニニギノ命は、五人の職人の長たちを連れて、
天降りなさいました。

                         (猿田毘古の神の巻)



高木の神が登場したシーンをまとめると

1、建御雷を出雲に派遣することを決定する。

2、豊葦原の中つ国を平定できたので、
  予定通りに天の忍穂耳の命を降臨させようとするが、
  忍穂耳の命の提案を受けて、
  その子供のニニギノ命に変更する決定をする。

3、ニニギノ命の天降りを見届けていて、
  見知らぬ神がいるのを見てアメノウズメに交渉に行かせる。

この三つが高木の神の登場シーンです。
三つとも天照大御神と一緒です。

高木の神は思った以上に活躍しています。
天照大御神とペアを組んで命令を出す立場です。

高天原はこの二柱の神の共同経営だという事が分かりました。
特に高木の神の後には「命じて」という言葉がついていて、
天照大御神より発言権があるように思われます。

高天原は天照大御神の支配する国というイメージが
あったのですが、
どうやらそれは読み込み不足でした。



高木の神は『古事記』の中で、さらに登場します。
次回はそのお話です。

スペルボーン(Spellborn)