スサノオの命(1) 誕生からアマテラスとのウケイまで


須佐之男の命(1)
スサノオのみこと

スサノオの命の誕生

イザナギの命は黄泉の国から逃げて来て、
筑紫の日向の橘の小門(おど)のアハキ原で禊祓いをしました。
身につけているものを脱いだ時に十二柱の神々が生まれました。

 それから、「上の瀬は流れが速い。下の瀬は流れが弱い。」と言って、
初めて中の瀬に潜って、すすいだ時に十一柱の神々が生まれました。

それから、左の御目を洗う時に生まれた神の名は天照大御神
次に右の御目を洗う時に生まれた神の名は、月読の命
次に御鼻を洗う時に生まれた神の名は、建速(たけはや)スサの男の命

この時イザナギの神は大変喜んで言いました。
「私は子供を生みに生んで、最後の最後に三柱の貴い子が出来た。」と。
すぐに首にかけていた首飾りの玉のひもをゆらゆらと揺らして、
天照大御神に授けて言いました。
「そなたは高天の原を治めなさい。」
とお任せになりました。
その首飾りの玉の名は御倉板挙(みくらたな)の神と言います。
次に月読の命に、「そなたは夜の食国(おすくに)を治めなさい。」
と言ってお任せになりました。
次に健速スサの男の命に言いました。
「そなたは海原(うなはら)を治めなさい。」とお任せになりました。


スサノオの命の追放


こうして、それぞれがお言葉に従って、授けられた国を治めておいでになる中で、
スサノオの命は命ぜられた国を治めないで、
ヒゲが胸のところに伸びるまでひどく泣きました。
その泣く様子は、青い山は枯れるまで、川や海は干上がるほどでした。
そのために、悪い神の声はハエがワンワンとたかるように満ちて、
いろんな災いが起こるようになりました。

そこで、イザナギの命がスサノオの命に尋ねました。
「どうしてそなたは授けた国を治めないで泣きわめくのだ。」
「わたくしめは亡き母の国、根の堅洲国に行きたくて、泣いています。」
とスサノオの命は答えました。
すると、イザナギの大神は大変怒って言いました。
「それなら、そなたはこの国に住んではならない。」
と言って、そのまま、追放されました。
こうして、そのイザナギの大神は淡海(おうみ)の多賀に鎮座されています。

アマテラス大御神とのウケイ

そこで、スサノオの命は
「それならば姉のアマテラス大御神に事情を話してから出て行きましょう。」
と言って、天に昇る時、山川がことごとく鳴り響き、国土がみな揺れました。
アマテラス大御神は弟がやって来ると聞いて驚いて言いました。
「私の弟の命が昇って来るのは、きっと善良な心からではあるまい。
私の国を奪おうとしているにちがいない。」

そう言うと、結っていた髪をほどいて、男の髪型のみずらに結って、
左右のみずらにも、それを留める髪飾りにも、また左右の手にも、
それぞれに八尺(やさか)の勾玉のたくさん連ねた珠を巻き付けて、
背中には千本入る靫(ゆぎ…矢入れ)を背負い、脇にも五百本入る靫をつけて、
また、手首にはイツの竹鞆(たかとも…音の鳴る手首ガード)をつけて、
弓を振り立てて、地面を股まで、めりこむように踏みならして、
土を淡雪のように蹴ちらして、勇ましい雄たけびをあげて待ち構えました。

アマテラス大御神は
「どうして、天に昇って来たのだ。」と尋ねました。
スサノオの命は
「わたしめは悪い考えは持っていません。
ただ、イザナギの大御神が私に泣きわめいている訳をお尋ねになりました。
そこで、『わたしめは亡き母の国に行きたいと思って泣いているのです。』と答えました。

すると、大御神は『そなたはこの国に住んではならない。』と言われて、
私を追放されました。だから、事情をお話しておこうと思って参上しました。
他意はありません。」と申し上げました。

すると、アマテラス大御神は
「それなら、そなたの心が清く正しいのがどうして分かる。」と言いました。
そこでスサノオの命は答えて、
「それぞれウケイ(うらない)をして子を生みましょう。」と言いました。

宗像三女神の誕生

そこで、天の安の河(天の川)を中に置いて、ウケイをする時に、
アマテラス大御神が先に、スサノオの命の佩(は)いた十拳剣(とつかのつるぎ)
貰い受けて、三段に折ってユラユラと揺らして、
天の真名井の水で振りすすいで、噛みに噛んで、フッと吹き捨てた時、
息吹きの霧に生まれた神の名は、タキリビメの命。
またの名は奥津島(おきつしま)ヒメの命と言います。

次に、イチキシマヒメの命。またの名はサヨリビメの命と言います。
次にタギツヒメの命。三柱です。

天の忍穂耳の命らの誕生

続けて、スサノオの命はアマテラス大御神の左のみずらに巻いている
八尺(やさか)の勾玉のたくさん連なった珠をもらって、ユラユラと揺らして、
天の真名井の水で振りすすいで、噛みに噛んで、フッと吹き捨てた時、
息吹きの霧に生まれた神の名は、マサカツアカツカチハヤヒ天の忍穂耳の命

また、右のみずらに巻いている珠をもらって、噛みに噛んで、フッと吹き捨てた時、
息吹きの霧に生まれた神の名は天のホヒノ命

また、髪飾りに巻き付けていた珠をもらって、噛みに噛んで、フッと吹き捨てた時、
息吹きの霧で生まれた神の名は天津ヒコネの命
又、左の手に巻いていた珠をもらって、噛みに噛んで、フッと吹き捨てた時、
息吹きの霧に生まれた神の名はイクツヒコネの神

また右手に巻いていた珠をもらって、噛みに噛んで、フッと吹き捨てた時、
息吹きの霧に生まれた神の名は、熊野クスビの命。合せて五柱でした。

そこで、アマテラス大御神がスサノオの命に言いました。
「後の方で生まれた五柱の男子は、私の物から生まれたので、私の子だ。
先に生まれた三柱の女子は、そなたの物から生まれたので、そなたの子だ。」
と。

こうして、最初に生まれた神、タキリビメの命は宗像の奥津宮にまします。
次にイチキシマヒメの命は宗像の中津宮にまします。
次にタキツヒメの命は宗像の辺津宮にまします。
この三柱の神は宗像の君らが斎きまつる三柱の大神です。
こうして、スサノオの命がアマテラス大御神に言いました。

「私の心は清く、正しかった。だから、私の生んだ子は手弱女(たおやめ)でした。
ウケイの結果から言うと、私の勝ちですね。」と言いました。


                                       (つづく)
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by himeluna | 2010-07-04 19:18 | スサノオの命 | Trackback | Comments(0)
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