斉明天皇(1)百済の使者が百済敗北を報告して、援軍を依頼した

                                    【日本書紀】

斉明天皇(1)(皇極天皇)
生没(594~661)在位(655~661)

百済の使者が百済敗北を報告して、援軍を依頼した
 


 斉明天皇6年9月5日に、百済(くだら)は達卒(だちそちー官位)のなにがし(名前は不明)と沙弥(さみ)覚従(かくじゅ)たちを派遣して、ヤマト朝廷にて奏上しました。(ある本には、逃げて来て、国難を奏上したともいう)

「今年の7月に、新羅(しらぎ)が武力を頼み、勢いに任せて、隣国のと手を結びました。唐人を加担させて、百済を傾けて転覆させました。国王大臣たちをみな捕虜にして連れて行き、残っているものもいません。

(ある本には、今年の7月10日に大唐の蘇定方(そていほう)が船団を出して、尾資(びし)の津に進軍した。新羅の王・春秋智(しゅんしうち)は兵馬を引き連れて、ノズリ山に陣を敷いた。百済を挟み討ちして三日間戦った。我が百済の王城は陥落した。7月13日の事だった。ノズリ山は百済の東の堺にある。)

 そこで、西部恩卒(さいほうおんそちー官位)・鬼室福信(姓と名)は怒り発奮してニザギ山に布陣しました。達率(官位)・余自進(よじしんー姓と名―百済の王族)は中部のクマノリ城に布陣しました。それぞれ自分の陣営で、散り散りになった兵たちを集めました。

武器は百済滅亡の時に使いはたしていました。だから、棍棒で戦いました。新羅軍が敗れました。百済はその武器を奪いました。こうして百済軍は再び回復して、精鋭軍となりました。ですから、唐はあえて侵入しようとはしません。

福信たちは、ついに我が国の者たちを集めて、共に百済城を守っています。国の民は称えて佐平(最高官位)・福信、佐平・自進と呼びます。ただし、福進だけは神の恵みで戦って滅んだ国を再興しました。」と奏上しました。

冬10月に、百済は佐平・鬼室福信と佐平・貴智(くゐち)たちをヤマト朝廷に派遣して、唐の捕虜100人余りを連れて来て献上しました。今、美濃の国の不破(ふわ)・片県(かたあがた)の唐人がこの人たちです。

福信たちは、軍勢を出して百済国を助けるように頼みました。併せて、百済の王子・余豊璋(よほうしょうー人質として日本にいた)の帰国を願って言いました。

「唐人が、害虫のような新羅と手を結んで国境を侵し、我が国を滅ぼし、我が国王と群臣を捕虜にしてしまいました。
〔百済の王・義慈(ぎじ)と妻・恩古(おんこ)、その子・(りう)たち、大臣の佐平・千福国弁成(こくべんじょう)・孫登(そんとう)たち、合わせて50人余り。秋7月13日に、将軍に捕えられて唐国に送られた。〕

しかも、百済国は遥か遠いヤマトの天皇の御加護を頼んで、さらに離散したものたちを集めて国を回復しました。まさに、今、謹んで願うのは、百済国から貴国に遣わした王子・豊璋を迎えて、国王にしていただきたい事です。」などと奏上しました。

 斉明天皇が言いました。
「軍隊の派遣を求めて、救援を頼むような話は昔もあったと聞いている。国が危ないのを助け、絶えた王族の血統を継ぐ事は、古典にも書かれている。

百済国の人たちが困って我が国を頼っているのは、本国が滅亡して乱れ、頼る所もなく、相談する所もないという事情からである。再興を願って戈(ほこ)を枕にして、苦い肝を舐めて、敗戦の屈辱を忘れないようにしている。是非とも助けてくれと、遠い所から来て奏上している。その志(こころざし)をむげには出来ない。

将軍に命じて、あらゆる手段をこうじて、共に進軍しよう。雲のように会い、雷のように動いて、ともに新羅のサタクの地に集結して、悪人たちを切って、苦しみを緩和させよう。
有司(つかさ)よ、人質の王子たちを、礼節をもって遣わすように。」などと言いました。

〔王子・豊璋とその妻子と、叔父の忠勝たちを送還する。その出発は7年の記事にみえる。ある本には、天皇は余豊璋を立てて百済王として、塞上(さいじょう)を補佐とし、礼節を持って遣わしたという。〕

12月24日に、斉明天皇は難波の宮に行かれました。天皇は福信の願いを聞き入れて、筑紫に行って、援軍を出そうと思い、まずはここに来て、もろもろの兵器の準備をしました。
                                           (つづく)

余豊璋…舒明3年3月、百済は人質として豊璋をヤマトに奉っていた。



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by himeluna | 2010-09-25 16:12 | 斉明天皇(皇極)35.37代 | Trackback | Comments(0)
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