アマテラスと高木神は葦原の中つ国を手に入れる。

                                   【古事記】   

天照大御神(2)

アマテラスと高木神は葦原の中つ国を手に入れる。

               (高御産巣霊神=高木神)

豊葦原の水穂の国は我が子の治める国である。

天照大御神は、
「豊葦原(とよあしはら)の千秋(ちあき)の長五百秋(ながいおあき)の
水穂(みずほ)の国は私の御子の正勝吾勝勝速日天忍穂耳命
(まさかつあかつかつはやひあめのおしほみみ)が治める国である。」
命じて言われ、天忍穂耳命が天降り(あまくだり)しました。

天忍穂耳命の天降りの中断
天忍穂耳命は天の浮橋に立ったのですが、
「豊葦原の千秋の長五百秋の水穂の国はひどく騒いでいるなあ。」
と言って、戻って来て天照大神にその事を申し上げました。

そこで、高御産巣日神と天照大神は命じて、
天の安河の河原に八百万の神を集めて、
思金(おもいかね)の神に考えさせて、言いました。

「この葦原の中つ国は私の御子が治める国で、私が委ねて与えた国である。
しかし、この国にはすばしこい荒ぶる国つ神どもが大勢いると思われる。
そこで、どの神かを遣わして、帰順させてほしい。」と。

天のホヒの神の派遣
思金神や八百万の神が協議して言いました。
天の菩比(あめのほひ)の神を遣わすのがよろしいでしょう。」と。
そこで天の菩比の神を遣わすと、そのまま大国主の神に媚(こ)びて従って、
三年たっても戻って来ませんでした。

天の若日子の派遣
そこで高御産巣日神と天照大御神は多くの神々に尋ねました。
「葦原の中つ国に遣わした天の菩比の神はずっと帰って来ない。
今度はどの神を遣わせばよいだろうか。」
そこで思金神が
天津国玉の神の子、天の若日子(わかひこ)を遣わすのがよいでしょう。」
と申し上げました。
これによって、天のマカコ弓、天のハハ矢を天の若日子に授けて遣わしました。

天の若日子はその国に天降りすると、すぐに大国主の神の娘の
下照比賣(したてるひめ)を娶(めと)り、
またその国を自分の国にしようと思うようになって、
八年たっても戻って来ませんでした。

鳴女の派遣
そこで天照大御神と高御産巣日神が他の神々に尋ねました。
「天の若日子はずいぶん経つのに戻って来ない。
また、誰か他の神を遣わして、天の若日子が久しく留まる訳をたずねよう。」
そこで、諸神と思金神が
「雉(きじ)で、名前が鳴女(なきめ)という者を遣わしましょう。」
とお答え申し上げたので、鳴女に言われました。

「おまえが行って、天の若日子にこう尋ねよ。
『そなたを葦原の中つ国に使わしたのは、
その国の荒ぶる神どもを説得して帰順させよと言う事だった。
どうして、八年も経つのにまだ帰って来ないのか。』と。」

そこで鳴女は天降りして、天の若日子の家の門にある湯津楓
(ゆつかつら)の木に止まり、天つ神の言われた通りに言いました。

すると、天の佐具賣(さぐめ)がこの鳥の言う事を聞いて、
天の若日子に言いました。
「この鳥は鳴き声がとても不吉です。射殺すべし。」
と進言すると、すぐに天の若日子は天つ神が授けた天のハジ弓、
天のカク矢を持って来て、その雉を射殺しました。

すると、その矢は雉の胸を射通し、突き抜けて、
さかさまに高天原に射上げられて、天の安河の河原にいる天照大御神と
高木神の元に戻って来ました。この高木神は高御産巣日神の別の名です。

高木神がその矢を取って見ると、血がその矢の羽についていました。
そこで、高木神は
「この矢は天の若日子に授けた矢だ。」
と言って、諸神に見せて言われました。
「もし、天の若日子が我々の命令に忠実で、悪い神を射た矢が
戻って来たのなら、天の若日子には当たるな。
もし、反逆の心が有るなら、天の若日子に当たって禍(わざわい)せよ。」
と言って、その矢を取って、その矢が開けた中つ国との境の穴から、
突き返すと、天の若日子が朝、寝床に寝ている時、
その胸に当たって死んでしましました。(これが還り矢の語源です。)

またその雉も戻って来ませんでした。
コトワザに「雉の頓使(ひたつかい)」(雉の行ったきり)という謂われは
ここから来ています。

タケミカヅチの神の派遣
―略―
(天の若日子の派遣が失敗したので、高天原では再び諸神の相談があって、
建御雷の神を派遣させる事が決定しました。)

天照大御神は建御雷(たけみかづち)の神に
天の鳥船の神を付けて遣わしました。
この二柱の神は出雲の国の伊那佐の小浜に天降りして、
十掬剣(とつかつるぎ)を抜いて、さかさまに波頭に刺し立て、
その剣の前に胡坐を組んで座り、大国主の神に尋ねて言いました。

「天照大御神、高木の神の命令で、尋ねるために私を遣わされた。
『そなたが治める葦原の中つ国は我が御子が治める国ぞ。』との仰せである。
そこで、なんじの心はいかがであるか。」
大国主の神は
「私めは申し上げますまい。
我が子の八重事代主(やえことしろぬし)の神が答えるでしょう。
しかし、我が子は鳥の遊びをして、魚を取っているので、
御大(みほ)の前(さき)に行って、まだ帰って来ません。」と答えました。

そこで建御雷の神は、天の鳥船の神を遣わして、
八重事代主の神を引き立てて来て、お尋ねになった所、
八重事代主の神は、父神に語って言いました。
「畏れ多い。この国は天つ神の御子に献上しましょう。」
と言って、そのまま船を踏みつけて傾かせて、
青い芝で作った神域を示す垣根を作り、天の逆手(呪術的な拍手?)を打って、
身を隠されました。 
―略―
(この後、建御雷の神はもう一人の御子とも対決して勝利し、
ついに出雲の降伏が決定して、建御雷の神が高天原に戻って来ます。)

天降りをニニギノ命に変更する
そこで、天照大御神と高木の神の命令で、
太子(ひつぎのみこ)の天の忍穂耳命に言われました。
「今、葦原の中つ国を平定したとの報告があった。
だから、以前にその国を与えた通りにして、天降りして、治めなさいませ。」と。

そこで太子の天忍穂耳命が答えて申し上げました。
「私めが天降りしようと支度をする間に、子供が生まれました。
名前は天ニキシ国ニキシ天津日高日子番(あまつひこひこほ)のニニギノ命です。
この子を降臨させましょう。」

この御子は高木の神の娘の萬幡豊秋津師比賣命(よろずはたとよあきづしひめ)と
結婚して生まれた子供で、長男が天の火明命(あめのほあかり)。
次男が日子ホノニニギの命です。

こういう事で、天の忍穂耳の言葉が受け入れられました。
忍穂耳の命はニニギノ命に勅命を伝えて、
「この豊葦原の水穂の国はそなたが治める国であると言ってお与えになった。
だから、命ぜられた通りに天降りしなさい。」と言われました。
             
見知らぬ神との交渉役をアメノウズメに決定する
そこで日子穂のニニギノ命が天降りをしようとする時に、
天の八街(やちまた)で、上は高天の原を照らし、
下は葦原の中つ国を照らす神が立っていました。

それを見て、天照大御神と高木の神はアメノウズメの神に命じて言われました。
「そなたは力の弱い女であるが、敵対する神に会っても、
面と向かって気後れしない神である。だから、そなた一人で行って尋ねなさい。
『我が御子の天降りする道の真ん中に立ち塞がっているのはどなたか。』と。」

そこで、アメノウズメの神が行って尋ねました。
すると、その神が答えて言いました。
「私は国つ神、名は猿田彦の神です。こうして出て来たのは、天つ神の御子が
天降りなさると聞いたので、道案内をしようとして、参上しました。」
こうしてニニギノ命は、五人の職人の長たちを連れて天降りなさいました。

                (つづく)



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by himeluna | 2010-11-03 16:33 | 天照大御神(アマテラス) | Trackback | Comments(3)
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Commented by jumgon at 2010-12-03 10:09
天のホヒの神の派遣・天の若日子の派遣ともに失敗。派遣されても戻って来ないなんて、まるで葛城ソツヒコみたいですね。
それに「天の忍穂耳命」はきっとこの国にきたくなかったんでしょうね。苦難はイヤだったのでしょう。なんだかんだと言って結局自分はいかず子どものニニギに行かすのですから、、、。
おもしろいですね。これはなにかの事実を反映してるのだと思います。
Commented by himeluna at 2010-12-03 10:42
そうそう。訳してみて、始めは何か間違ったかなと思いました。ニニギの事は有名ですが、父親が先に命ぜられていたなんて、聞いた事もありませんでした。
確かに何かの事実を反映していて、シンボル化したものだと思いますが、何せコチラには知識がない…。もどかしいですね。
Commented by kokufu36 at 2017-04-15 13:25 x
これは穴吹町口山宮内にあります、磐境神明神社のなかを、見ればわかります。

このしたに白人神社があります、猿田彦神を守り神としています。
スペルボーン(Spellborn)