饒速日命(2)日本書紀編纂時には、出自が二説になってしまっていた。

                                    【日本書紀】

饒速日命(2) 

(ニギハヤヒ・ホアカリの命) 
天照国照彦天火明櫛玉饒速日
あまてる・くにてるひこ・あめのほあかり・くしたま・にぎはやひのみこと

日本書紀編纂時には、出自が二説になってしまっていた。

日本書紀に出て来る順に訳して行きます。

〔神代下 第九段〕
ニニギノ命が降臨した地に人が一人いました。自ら事勝国勝長狭(ことかつくにかつながさ)と名乗っていました。ニニギノ命が
「ここには国があるか。」と尋ねました。
「ここには国があります。どうぞご自由にしてください。」と答えました。

そこでニニギの命は留まりました。その国に美人がいました。名をカシツ姫と言います。(亦の名をカムアタツ姫。亦の名を木花咲耶姫。)ニニギの命はその美人に尋ねました。
「そなたは誰の娘であるか。」
「私は天神の大山祇神(おおやまつみ)の娘です。」
ニニギの命はそれを聞いて召しました。そして、一夜で妊娠しました。ニニギノ命は偽りだろうと思って、
「天神の娘と言っても、一夜で妊娠することがあろうか。私の子ではあるまい。」
と言いました。

カシツ姫は怒り恨んで出入り口の無い室(むろ)を作って、その中に籠って誓って言いました。
「私が孕んだ子が、もし天孫の御子でなかったら、きっと焼け滅ぶだろう。もし本当に天孫の御子ならば、無事だろう。」と。
そうして、火をつけて室を焼きました。

初めに起こる煙から生まれた子をホノスソリノ命と名付けました。(隼人の始祖です。)次に、熱が冷めた時に生れた子を彦ホホデミの命と名付けました。次に生れた子をホアカリの命と名付けました。(尾張の連の始祖です。)

一書に曰く
木花開耶姫ニニギノ命に会って言いました。
「私は天孫の御子を妊娠しました。ひそかに生む訳にはいかないので、こうして参上しました。」
ニニギの命は木花開耶姫に言いました。
「天つ神の御子といっても、どうして一夜の契りで妊娠させる事ができようか。そもそも私の子供ではないのではないか。」
木花開耶姫はひどく恨んで、すぐに戸の無い室(むろ)を作らせて、誓って言いました。
「私が妊娠した子供がもし他の神の子供ならば、不幸な結果になろう。本当に天孫の御子なら無事に生きられよう。」と言って、その室の中に入って、火をつけて室を焼きました。
その時に、炎がはじめに起る時に生れた子をホノスセリの命と名付けました。次に、火が盛んになった時に生まれた子をホアカリの命と名付けました。次に生れた子を彦ホホデミの尊と名付けました。(亦の名はホノヲリの尊。)

また一書に曰く、
初め炎が明るい時に生れた子はホアカリの命。次に炎が盛んな時に生れた子はホノススミの命

また一書に曰く
その火の初め明るい時に、踏み雄たけびを上げて生れた子が自ら名乗りました。
「われは天神の子。名はホアカリの命。わが父はどこにおられます。」と。

また一書に曰く、
天のオシホネの尊、タカミムスヒの尊の娘・タクハタチヂ姫ヨロヅハタ姫の命(またはホノトハタ姫の子、チヂ姫の命)を娶りました。そうして天のホアカリの命を生みました。その天のホアカリの命の子、天のカグヤマは尾張の連らの遠祖です。

また一書に曰く、
天のキセの命アタツ姫を娶ってホアカリの命が生まれました。

また一書に曰く、
マサカアカツカチハヤヒ天のオシホミミの尊タカミムスヒ尊の娘・天ヨロヅタクハタチハタ姫を娶って生れた子を天照国照彦ホアカリの命と名付けました。次に天ニギシ国ニギシ天津彦ホノニニギノ尊。

感想
日本書紀にはホアカリの命について、7つの異なる伝承が書かれていました。(見落としがあるかもしれません。)ここでは編者が少なくとも9つの歴史書を集めて、比較検討しています。
日本書紀を編纂した頃には既に、ホアカリの命は、
「父・ニニギノ命、母・木花開耶姫の子供説」と、
「父・オシホミミの命・母・ヨロヅハタ姫の子供説」
と二説が出来ていて、編纂者は順に並べる事で対処しているのが分かりました。
この混乱が古事記でも、矛盾した世代・年齢として表れているようです。
(系図は(1)を参照して下さい)
    (つづく)



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by himeluna | 2010-12-23 22:51 | ニギハヤヒノ命(ホアカリ) | Trackback | Comments(2)
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Commented by jumgon at 2010-12-19 14:31
(ニギハヤヒ・ホアカリの命)の出自は諸説あるのですね。ホントややこしい。
ようするに書記編纂時、すでに分からなくなっていたのですね。
とりあえず、神武よりさきにナニワにやってきたと思っておかないと先に進めません。
Commented by himeluna at 2010-12-19 17:23
そうそう。当時すでにややこしくなってしまっていたんですね。
先ほど、ニギハヤヒを祀る元宮に行って来ました。いったい、あれとこれとどう繋がるんだろ。思考停止状態です。
とても綺麗な所だったので、また『ひもろぎ逍遥』で紹介します。
スペルボーン(Spellborn)