神功皇后(7)新羅攻撃

                                    【日本書紀】

神功皇后(7)

新羅攻撃


冬10月3日、対馬の和珥(わに)の津を出発しました。その時、風の神は風を起こし、海の神は波を立て、海の中の大魚はみんな浮かび上がって船をたすけました。順風が大きく吹いて、帆船は波に乗りました。カジや櫂(かい)を使わずに新羅に着きました。その時、大波が起こって船は国の中に到達しました。まさしく天神地祇が助けたのを確信しました。

新羅の王は戦々恐々として、成す術もありませんでした。そこで諸人を集めて言いました。
「新羅の建国以来、いまだかつて海水が国に上って来た事を聞いたことがない。これは天運が尽きて、国が海中に没しようとするのであろうか。」

そう言い終わらないうちに軍船が海に満ちて、旗が日に輝いていました。鼓や歓声が起こって、山や川に響き渡りました。新羅王はそれを遥かに望んで、想像以上の兵が我が国を滅ぼそうとしていると思い、恐ろしさに気を失いました。

目が覚めると、
「東の方に神の国があると聞いていた。日本と言う。聖王がいて天皇と言うとも。きっとその国の神兵たちだろう。挙兵して応戦することは無理だろう。」
と言って、白旗をあげて、首に降伏の印の白い縄を付けて降伏しました。

土地の図面と人民の戸籍を封印して支配権を放棄したことを示し、王船の前に降伏しました。頭を垂れて、
「今から後、長らく天地に従うように、貴国に従って馬飼部となります。船のカジが乾かないほど頻繁に春と秋には馬の櫛とムチを献上してお仕えします。また遠く海を越えるのを厭わず、毎年、男女を献上します。」と言いました。

そして重ねて誓って、
「東から出る太陽が西から昇ったり、天の川が逆さまに流れたり、川の石が昇って星となるような事が起こらないのに、春秋の朝貢や馬の櫛とムチの献上を止める事があったら、きっと天の神、地の神の罰があるでしょう。」と言いました。

その時、日本側の或る人が「新羅の王を殺しましょう。」と言いました。
すると皇后
「もともと神の教えを受けて、金銀の国を授けられるのだ。全軍に『自ら降伏するものを殺してはならない』と命令したのだ。既にこうして財宝の国は手に入った。新羅の者は自ら降伏したのだ。殺すのは不条理だ。」
と言って、その縄をほどいて馬飼部としました。

ついに、その国の中枢に入って財宝の蔵を封印して、地図・戸籍・文書を没収しました。そして皇后の持っていた矛を新羅王城の門に立てて、後の世の印としました。この矛は今でも尚、新羅王城の門に立っています。

そこで新羅王ハサムキム、別名ミシコチハトリ干峡(かんき)を人質として、金銀・彩色・綾絹・うす絹・固く織った絹を八十隻の船に載せて、官軍に従わせました。これよりのち、新羅王が常に八十隻の朝貢を日本国にするのは、この戦いの所以からです。

高麗、百済の二国の王は新羅が地図・戸籍を取り収めて日本国に降伏したと聞いて、ひそかに日本の軍勢を伺い、勝つ事が出来ないのを悟ると、自ら営舎の外に出て、頭を下げて「これより後は、永く西蕃(せいばん)と称して、朝貢をし続けます。」と言いました。

こうして日本は内官家屯倉(うちつみやけ)を置きました。これがいわゆる三韓です。皇后は新羅から帰還しました。



ひとりごと

大波について
対馬から朝鮮半島へは有視界航路です。現代のヨットで博多→釜山間は一日行程です。

初め、この「大波が起こって船は国の中に到達しました」という一文がよく分からなかったのですが、スマトラ沖の津波を見て、この大波は津波と訳すべきではないかと考えるようになっていました。今回の東日本大地震もそうですが、歴史の痕跡を辿ると、人類は津波や噴火との戦いの連続だったのが推し量られます。

地震雲を世に出した眞鍋大覚氏は、逆に新羅の地震のせいで、九州に津波が上がった記録についても書いてあります。(『ひもろぎ逍遥』「針摺の瀬戸と水城 古代、玄界灘と有明海はつながっていた」で一部紹介)


三韓と新羅について
三韓とは普通3世紀頃では「馬韓・辰韓・弁韓」を指し、4世紀では「百済・新羅・高句麗」を指します。8世紀の日本人には、三韓がどちらを指すのかがよく分からないために、表現が混乱しています。

それは、現代の日本人が500年前の朝鮮半島の国がどんなだったかが分からないのと同じだと思います。「新羅」と書いてあるから、4世紀だと決めつけてしまうと、真実の探求が出来なくなる恐れがあるなと思いました。

海路
途中で嵐が起こって漂着したりした伝承が福岡沿岸にいろいろとあります。
『ひもろぎ逍遥』の方で、少しずつ追っていきたいと思います。

c0213541_219724.gif



[PR]
by himeluna | 2011-03-08 21:10 | 神功皇后(息長帯比賣命) | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://himeluna.exblog.jp/tb/16084295
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
スペルボーン(Spellborn)