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神功皇后(9)別伝

                                    【日本書紀】

神功皇后(9)

別伝

ある本に曰く、
足仲彦天皇(たらしなかつひこ=仲哀天皇)は筑紫の橿日の宮を宮処としました。
その時、サバの県主(あがたぬし)の祖であるウツヒコ・クニヒコ・松屋種(まつやたね)に神が懸かって、天皇に教えました。
「天皇がもし宝の国を手に入れたいと望めば、実際にお授けしよう。」と。
すぐにまた続けて、
「琴を持って来て皇后に勧めなさい。」
と言いました。

そこで神の言葉に従って、皇后は琴を弾きました。すると神が皇后に懸かって教えました。
「そなた天皇の所望する熊襲の国は、例えれば鹿の角のようなものである。実がない国である。今、そなたが乗っている王船と穴戸の直(あたい)ホムタチが献上した大田という名の水田を供えて、我をよく祀れば、美女の眉毛のようで金銀が沢山あって目もくらむような国をそなたに授けよう。」と。

その時、天皇は神に答えて言いました。
「いくら神といっても、どうして欺こうとされる。何処にそんな国がありましょうや。またわたしが乗る船を神に献上したら、私はどの船に乗ったらいいのですか。それに、どこの神とも分かりません。願わくば神の御名を承りたいものでございます。」

すると神が名乗られました。
表筒男(うわつつのお)、中筒男、底筒男。」と。
こうして三神の名を名乗ってまた重ねて言いました。
「我が名は、むかひつを・もおそほふ・いつのみたま・はやさのぼりの尊である。」と言いました。
すると、天皇は皇后に言いました。
「縁起の悪いことを言われる婦人だ。どうしてハヤサノボリ(速く天に昇る)と言うのか。」と。

すると神が天皇に言いました。
「そなた天皇がこれを信じないならば、その国は手に入るまい。ただし、今、皇后が懐妊している御子が手に入れるであろう。」
この夜、天皇は急に病気になって崩御しました。

この後、皇后は神の教えに従って祭りごとをしました。そうして男の装束を着て、新羅を討ちました。その時は神が留まり、導きました。そのお蔭で波に押されて船は遠く新羅の国の中まで到達しました。

新羅王のウルソホリチカは王船を迎えて、ひざまづいて頭をつけて言いました。
「臣下である私は、日本の内官家(うちつかんけ)として、これから後、日本国にまします神の御子に、絶えることなく朝貢します。」と。

新羅王
この別伝ではウルソホリチカです。
本伝ではハサムキム、即ちミシコチハトリ干峡(かんき)でした。
ある程度研究されているようですが、まだ未解決のようです。

この別伝の後、もう一つ別伝が書かれていますが、時代に合わないので省略します。



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