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カテゴリ:高御産巣日神(高木神)Ⅰ-Ⅲ( 3 )


高御産巣日神 (高木の神) (Ⅰ)

たかみむすひのかみ



 別天神(ことあまつかみ)五柱の出現

天と地が初めて開けた時、
高天の原(たかまのはら)に出現した神の名は
天の御中主(あめのみなかぬし)の神。

次に高御産巣日神(たかみむすひのかみ)。
次に神産巣日神(かみむすひのかみ)。
この三柱の神はみな独神(ひとりがみ)となって身を隠されました。

次に国土が出来たばかりで、浮いた油のようで、
クラゲのように漂っている時に、
葦の芽が牙のように大地を突き破って芽生えるように、
出現した神の名はウマシアシカビヒコヂの神。

次に、天の常立の神(あめのとこたち)の神。
この二柱の神もまた、独神(ひとりがみ)として、身を隠されました。

以上の五柱の神は特別な天(あま)つ神です。



豊葦原の国を手に入れるための相談 (高天原にて) 

天照大御神は、
「豊葦原(とよあしはら)の千秋(ちあき)の
長五百秋(ながいおあき)の水穂(みずほ)の国は
私の御子の正勝吾勝勝速日天忍穂耳命
(まさかつあかつかつはやひあめのおしほみみ)が治める国である。」
と命じて言われ、
その天忍穂耳命が天下りされました。

天忍穂耳命は天の浮橋にお立ちになったのですが、
「豊葦原の千秋の長五百秋の水穂の国はひどく騒いでいるなあ。」
と言って、戻って来て天照大神にその事を申し上げました。

そこで、高御産巣日神と天照大神は命じて、
天の安河の河原に八百万の神を集めて、
思金(おもいかね)の神に考えさせて、言われました。

「この葦原の中つ国は私の御子が治める国で、
私が委ねて与えた国である。
しかし、この国にはすばしこい荒ぶる国つ神どもが大勢いると思われる。
そこで、どの神かを使わして、帰順させてほしい。」と。

思金神や八百万の神が協議して言いました。
「天の菩比(あめのほひ)の神を遣わすのがよろしいでしょう。」と。

そこで天の菩比の神を遣わすと、
そのまま大国主の神に媚(こ)びて従って、
三年たっても戻って来ませんでした。

そこで高御産巣日神と天照大御神は多くの神々に尋ねられました。
「葦原の中つ国に遣わした天の菩比の神はずっと帰って来ない。
今度はどの神を遣わせばよいだろうか。」

そこで思金神が
「天津国玉の神の子、天の若日子(わかひこ)を
遣わすのがよいでしょう。」
と申し上げました。
これによって、天のマカコ弓、天のハハ矢を
天の若日子に授けて遣わしました。

天の若日子はその国に天下りすると、
すぐに大国主の神の娘の下照比賣(したてるひめ)を娶(めと)り、
またその国を自分の国にしようと思うようになって、
八年たっても戻って来ませんでした。

そこで天照大御神と高御産巣日神が他の神々に尋ねました。
「天の若日子はずいぶん経つのに戻って来ない。
また、誰か他の神を遣わして、
天の若日子が久しく留まる訳をたずねよう。」

そこで、諸神と思金神が
「雉(きじ)で、名前が鳴女(なきめ)という者を遣わしましょう。」
とお答え申し上げたので、鳴女に言われました。
「おまえが行って、天の若日子にこう尋ねよ。
『そなたを葦原の中つ国に使わしたのは、
その国の荒ぶる神どもを説得して帰順させよと言う事だった。
どうして、八年も経つのにまだ帰って来ないのか。』と。」

そこで鳴女は天下りして、天の若日子の家の門にある
湯津楓(ゆつかつら)の木に止まり、
天つ神の言われた通りに言いました。

すると、天の佐具賣(さぐめ)がこの鳥の言う事を聞いて、
天の若日子に言いました。
「この鳥は鳴き声がとても不吉です。射殺すべし。」
と進言すると、すぐに天の若日子は
天つ神が授けた天のハジ弓、天のカク矢を持って来て、
その雉を射殺しました。

すると、その矢は雉の胸を射通し、突き抜けて、
さかさまに高天原に射上げられて、
天の安河の河原にいる天照大御神と高木神の元に戻って来ました。

この高木神高御産巣日神の別の名です。

高木神がその矢を取って見ると、
血がその矢の羽についていました。
そこで、高木神は
「この矢は天の若日子に授けた矢だ。」
と言って、諸神に見せて言われました。

「もし、天の若日子が我々の命令に忠実で、
悪い神を射た矢が戻って来たのなら、
天の若日子には当たるな。
もし、反逆の心が有るなら、
天の若日子に当たって禍(わざわい)せよ。」
と言って、その矢を取って、
その矢が開けた中つ国との境の穴から、突き返すと、
天の若日子が朝、寝床に寝ている時、
その胸に当たって死んでしましました。
(これが還り矢の語源です。)

またその雉も戻って来ませんでした。
コトワザに「雉の頓使(ひたつかい)」(雉の行ったきり)
という謂われはここから来ています。



別天神

宇宙が混沌としていた時に、
出現した五柱の特別な神たち。
別天神(ことあまつかみ)と言います。

その中の二番目の神が高御産巣日神です。
別名、高木の神というのが文中に書いてありました。

ここで注目したいのは、
高木の神が常に天照大御神と一緒に
いるという事です。

高木の神には子供が二人いる
高木の神には思金神(おもいかねのかみ)という御子がいました。
諸神の中でいろいろとアイデアを出しています。
思金神は天照大御神が天の岩屋戸に籠もられた時に、
八百万の神が相談した折にも、アイデアを出した神です。
ここでも、具体的な案を次々に出しています。


高木の神にはもう一人子供がいます。
萬幡豊秋津師比賣の命(よろずはたとよあきつしひめ)です。
この姫と天忍穂耳が結婚して、
天の火明命(ほあかりのみこと)(ニギハヤヒ)と
ニニギノ命が生まれました。

天忍穂耳はニニギノ命が生まれたので、
天下りをニニギノ命に譲っています。

「独神」の訳について

高木神は独神と書かれていますが、
その訳が難しいのですが、
子供がいるので、
通説のとおりに、独身と訳すのは無理だという事が分かりました。
そのまま「ひとりがみ」としておきます。


弓矢の名が違う?

授けられた弓矢と使った弓矢の名前が違います。
古事記を書いた人が、
いくつかの話を合成して書いたので、
統一しそこなったのでしょうか…。


高木の神は以上の二か所と、もう二か所に出て来ます。
次回はこのつづきです。


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高木の神 (高御産巣日神) (Ⅱ)

(たかみむすひのかみ) 


出雲に国譲りを迫る

  
出雲への天の若日子の派遣が失敗したので、
  高天原では再び諸神の相談があって、
  建御雷の神の派遣が決定しました。

天照大御神は建御雷(たけみかづち)の神に
天の鳥船の神を付けて遣わしました。

この建御雷の神と天の鳥船の神は出雲の国の伊那佐の小浜に天降(くだ)りして、
十掬剣(とつかつるぎ)を抜いて、さかさまに波頭に刺し立て、
その剣の前に胡坐を組んで座り、大国主の神に尋ねて言いました。

「天照大御神、高木の神の命令で、尋ねるために私を遣わされた。
『大国主の神が治める葦原の中つ国は我が御子が治める国ぞ。』
との仰せである。
そこで、なんじの心はいかがであるか。」

大国主の神は
「私めは申し上げますまい。
我が子の八重事代主(やえことしろぬし)の神が答えるでしょう。
しかし、我が子は鳥の遊びをして、魚を取っているので、
御大(みほ)の前(さき)に行って、まだ帰って来ません。」
と答えました。

そこで建御雷の神は、天の鳥船の神を遣わして、
八重事代主の神を引き立てて来て、お尋ねになった所、
八重事代主の神は、父神に語って言いました。
「畏れ多い。この国は天つ神の御子に献上しましょう。」

と言って、そのまま船を踏みつけて傾かせて、
青い柴で作った神域を示す垣根を作り、
天の逆手(呪術的な拍手?)を打って、
身を隠されました。

                            (事代主の服従の巻)



   この後、建御雷の神はもう一人の御子とも対決して勝利し、
   ついに出雲の降伏が決定しました。
   建御雷の神はその後、高天原に戻って来ます。


天降りする神の変更

そこで、報告を受けた天照大御神と高木の神が、
太子(ひつぎのみこ)の天の忍穂耳(おしほみみの)命に言われました。

「今、葦原の中つ国を平定したとの報告がありました。
以前そなたに、この国を与えましたが、
これから天降りして、治めなさいませ。」
と。

そこで太子の天忍穂耳命が答えて申し上げました。

「私めが天降りしようと支度をする間に、
子供が生まれました。
名前は天ニキシ国ニキシ天津日高日子番(あまつひこひこほ)の
ニニギノ命と言います。
この子を降臨させるのがよろしいかと思いますが。」

この御子は天の忍穂耳命と
高木の神の娘の萬幡豊秋津師比賣命
(よろずはたとよあきづしひめ)とが結婚して生まれた子供で、
長男は天の火明命(あめのほあかり)。
次男が日子ホノニニギの命です。

天の忍穂耳の命の提案が受け入れられました。

そこで、天の忍穂耳の命はニニギノ命に勅命を伝えて、
「この豊葦原の水穂の国はそなたが治める国であると言って
お与えになった。
だから、命ぜられた通りに天降りしなさい。」
と言われました。

                (ニニギノミコト  天孫の誕生の巻)


ニニギノ命の天降り


そこで、ニニギノ命は命ぜられた通りに天降りをするのですが、
これから行こうとする道の途中の天の八街(やちまた)で、
上は高天の原を照らし、
下は葦原の中つ国を照らす神が立っていました。

それを見て、天照大御神と高木の神
アメノウズメの神に命じて言われました。

「そなたは力の弱い女であるが、敵対する神に会っても、
面と向かって気後れしない神である。
だから、そなた一人で行って尋ねなさい。
『我が御子の天降りする道の真ん中に立ち塞がっているのは
どなたか。』と。」

そこで、アメノウズメの神が行って尋ねました。

すると、その神が答えて言いました。
「私は国つ神、名は猿田彦の神です。
こうして出て来たのは、天つ神の御子が天降りなさると聞いたので、
道案内をしようとして、参上しました。」

こうしてニニギノ命は、五人の職人の長たちを連れて、
天降りなさいました。

                         (猿田毘古の神の巻)



高木の神が登場したシーンをまとめると

1、建御雷を出雲に派遣することを決定する。

2、豊葦原の中つ国を平定できたので、
  予定通りに天の忍穂耳の命を降臨させようとするが、
  忍穂耳の命の提案を受けて、
  その子供のニニギノ命に変更する決定をする。

3、ニニギノ命の天降りを見届けていて、
  見知らぬ神がいるのを見てアメノウズメに交渉に行かせる。

この三つが高木の神の登場シーンです。
三つとも天照大御神と一緒です。

高木の神は思った以上に活躍しています。
天照大御神とペアを組んで命令を出す立場です。

高天原はこの二柱の神の共同経営だという事が分かりました。
特に高木の神の後には「命じて」という言葉がついていて、
天照大御神より発言権があるように思われます。

高天原は天照大御神の支配する国というイメージが
あったのですが、
どうやらそれは読み込み不足でした。



高木の神は『古事記』の中で、さらに登場します。
次回はそのお話です。

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  高木の神 (高御産巣日神) (Ⅲ)
(たかみむすひのかみ)



神武天皇の東征


神倭イワレビコの命が熊野の村に着いた時に、
大きなクマがほのかに出て来て、そのまま消えてしまいました。

すると、神倭イワレビコの命は急に疲れてしまい、
また率いていた軍勢も皆疲れて倒れてしまいました。

この時、熊野の高倉下(たかくらじ)が、一振りの太刀を持って、
天つ神の御子が倒れている所にやって来て、献上しました。

すると、神倭イワレビコの命はすぐに目が覚めて、起き上がり、
「長く寝たなあ。」と言われました。
そして、その太刀を受け取ると、
その熊野の山の荒ぶる神はひとりでに皆切り倒されました。

すると惑わされて倒れていた軍勢もみな目が覚めて起きました。

そこで、神倭イワレビコの命が高倉下に
その太刀を手に入れた事情を尋ねると、こう答えました。

「こんな夢を見たのです。

天照大御神と高木の神の二柱の神が
建御雷の神を召して、言われました。

『葦原の中つ国はひどく騒いでいるようだ。
我が御子たちが病んでいるらしい。

その葦原の中つ国は、そもそもそなたが平定した国である。
だから、そなた建御雷の神が天降りしなさい。』と。

そこでお答えになったのが、
『私めが直接降りなくても、その国を平定した太刀が有るので、
その太刀を下ろすのがよろしいでしょう。』と。

     (この太刀の名は佐士布都(さじふつの)神と言い、
      またの名は甕布都主(みかふつぬし)と言い、
      またの名は布都御魂(ふつみたま)と言う。
      この刀は石上神宮にある。)

そして、夢の中で私にお告げになったのです。

『この刀を降ろす方法だが、
お前、高倉下の倉の屋根に穴を開けて、そこから落とし入れる。
だから、縁起をかついで、
朝目を覚ました時に、一番最初に目に入るようにして、
天つ神の御子に奉りなさい。』と。

朝、目が覚めて、夢で教えられた通りに倉を見ると、
本当に太刀がありました。
だから、その太刀を持って献上しに参りました。」
と高倉下は申し上げました。
さらに付け加えて言いました。

「その時、また、高木の神が諭して命ぜられた事には、
『天つ神の御子をこれより奥の方には、入らせないようにしなさい。
荒ぶる神がとても多い。
今、天からヤタガラスを遣わす。
そのヤタガラスが道案内をするであろう。
それが飛び立った後から、行軍されるように。』との事です。」

それを聞いて、神倭イワレビコの命は教えの通りに、
ヤタガラスの後から行軍されました。

    (神武天皇  東征の巻)





以上、三回に渡って高木の神が出てくる所を
現代語訳しました。

今回の「神武天皇の東征」では、高木の神たちは
神武天皇が熊野で困難にあった時に、
高倉下の夢に現われて、助けています。

振りかえって見ると、
高木の神と天照大御神は高天原ではいつも一緒でした。

この二柱の神の子供同士も結婚しています。
強力なタッグを組んでいます。
何か古代史の謎を秘めているようですね。

その謎を解くカギとして、この二柱が古代の暦を作る時に、
重要な働きをしている事が分かりました。

高木の神とはアンドロメダ星雲を指すことも分かりました。


『ひもろぎ逍遥』の「高良大社(Ⅳ)」で

「高木の神と玉垂命が交代した謎にチャレンジ
アンドロメダ星雲と暦の変化」

というタイトルで考察しています。
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