カテゴリ:イザナミの命 ( 3 )

伊邪那美の命(1)

イザナミの命の出現と夫婦の交わり


天と地が初めて別れた時、
高天(たかま)の原に七柱の神が現れて、次に四組の神々が現れ、
最後にイザナキの神、とイザナミの神が現れました。


 さて、天つ神がイザナギノ神とイザナミの神に、
「このクラゲのように漂っている国を、つくり固めて完成させなさい。」
と言って、天の沼矛(ぬぼこ)を与えられました。

 そこで二人の神は天の浮橋にお立ちになって、
その沼矛を指し下ろしてかきまわしました。

国土が出来たばかりで、水に浮かんだ油のように、
クラゲのように漂っている所をコオロコオロとかき鳴らして引き揚げる時に、
その矛の先からしたたり落ちたものが重なり積もって島となりました。
これがオノゴロ島です。

そこでお二人はその島に天降りして、天の御柱を立てて、八尋殿を建てました。
そこで、イザナギの神が妻のイザナミの命に尋ねました。
「お前の身体はどうなっている。」
「私の身体はよく出来ていますが、足りない所が一か所あります。」

「私の身体もよく出来ているが、余った所が一か所ある。
それでは、私の余ったものを、そなたの足らない所に差し塞いで、
国土を生もうと思うが、どうだろうか。」

イザナギの命がそう言われたので、イザナミの命が
「それはいいですね。」
とお答えになりました。


イザナミは先に声を掛けた

それを聞いてイザナギの命は、
「それでは私とそなたとこの天の御柱を回ってから、夫婦の営みをしよう。」
とおっしゃいました。
「そなたは右から回って、私は左から回って会おう。」と。

約束して、その通りに廻る時に、イザナミの命が先に、
「ああ、なんて素敵な男の人なの。」
と言い、それから、イザナギの命が
「ああ、なんと素敵な乙女よ。」
と言ったあと、イザナギの命が
「女の人が先に言ったのはまずいな。」と言いました。

しかし寝室に行って、夫婦の交わりをして、生んだ子供は水蛭子(ひるこ)でした。
この子は葦船に入れて流して捨てました。
次に淡島(あわしま)を生みました。これも、子供とは扱いませんでした。


二人は占ってもらった

そこで、お二人は、話し合いました。
「今回生まれた子供は良くなかった。
やっぱり、天つ神の所に行って、相談しよう。」
と言って、一緒に参上して天つ神の御意見を求めました。

そこで、天つ神の意見によって、太占(ふとまに)で占って、告げられました。
「女が先に言ったのが良くなかった。また帰って、やり直しなさい。」

そこで、再び天下りして、天の御柱を同じように廻りました。
今度は、イザナギの命が先に
「ああ、なんと素敵な乙女だ。」
と言って、その後、イザナミの命が
「ああ、なんて素敵な男の人。」と言いました。


日本の島々を生む

そうして再び、夫婦の交わりをして生んだ子供は
淡道(あわじ)の穂の狭別(さわけ)の島。
次に伊予の二名(ふたな)の島。

この島は身体は一つで、顔が四つ有りました。
顔ごとに名前が付いています。
伊予の国はエヒメと言い、讃岐の国イヒヨリヒコと言い、
粟の国はオオゲツヒメと言い、土佐の国はタケヨリワケと言います。

次に隠岐の三つ子の島を生みました。またの名は天のオシコロワケ。
次に筑紫の国を生みました。
この島もまた、身体は一つで顔が四つありました。
顔ごとに名前が付いています。

筑紫の国は白日別(しらひわけ)と言い、豊国は豊日別(とよひわけ)と言い、
肥(ひ)の国はタケヒムカトヨクジヒネワケと言い、
熊襲の国はタケヒワケと言います。

次に壱岐の島を生みました。またの名は天の一つ柱といいます。
次に津島を生みました。またの名は天のサデヨリヒメと言います。
次に佐渡の島を生みました。
次にオオヤマトトヨアキヅ島を生みました。
またの名は天つミソラトヨアキヅネワケと言います。

こうして、八つの島を先に生んだので、
大八島国(おおやしまぐに)と言います。

 そうしてから、戻る時に吉備の児島を生みました。
またの名はタケヒカタワケと言います。
次に小豆島を生みました。またの名をオオノデヒメと言います。
次に大島を生みました。またの名はオオタマルワケと言います。

次に女島(ひめしま)を生みました。またの名は天一根(あめのひとつね)と言います。
次に知訶(ちか)の島を生みました。またの名は天の忍男(おしお)と言います。
次に両児(ふたご)の島を生みました。またの名は天の両屋(ふたや)と言います。
                                   (つづく)
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伊邪那美の命(2)

イザナミは火の神を生んで死んでしまう


イザナミは神々を生む


 こうして、国を生み終えて、さらに神を生みました。
生んだ神の名前は、オオコトオシオの神。
次にイワツチビコの神を生み、次にイワスヒメの神を生み、
オオトヒワケの神、天のフキオの神、
オオヤビコの神、カザモツワケノオシオの神、

次に海の神で名は大綿津見の神を生み、
ミナトの神、ハヤアキヅヒコの神、イモハヤアキヅヒメの神を生みました。
(オオコトオシオの神からアキツヒメの神まで合わせて十神。)
このハヤアキツヒコとハヤアキツヒメの二柱の神はそれぞれ川と海を受け持ちました。

次に生んだ神の名は、アワナギの神、次にアワナミの神。
次にツラナギの神、次にツラナミの神。
次に天の水分(ミクマリ)の神、次に国の水分の神、
次に天のクヒザモチの神、次に国のクヒザモチの神。

次に風の神、名はシナツヒコの神を生み、
次に木の神、名はククノチの神を生み、
次に山の神、名は大山津見の神を生み、
次に野の神、名はカヤノヒメの神を生みました。
またの名は野椎(のづち)の神と言います。
(シナツヒコの神より野椎の神まで、合わせて四神。)
この大山津見の神とノヅチの神の二柱はそれぞれ山と野を受け持ちました。

次に生んだ神の名は天の狭土(さづち)の神、次に国の狭土の神、
次に天の狭霧の神、次に国の狭霧の神、
次に天の闇戸(くらど)の神、次に国の闇戸の神、
次に大戸惑子(おおとまとひこ)の神、次に大戸惑女(おおとまとひめ)の神。
(天の狭土の神から大戸惑女神の神まで、合わせて八神。)

イザナミは火の神を生んで亡くなってしまう

次に生んだ神の名は、鳥の石楠船(いはくすぶね)の神、
またの名は天の鳥船と言います。
次にオオゲツヒメの神を生みました。
次に火のヤギハヤオの神を生みました。
またの名は火のカガビコの神と言い、またの名を火のカグツチの神と言います。

 この子を生んだために、イザナミの命は陰部を焼かれて
病み臥すようになりました。
吐いたものに生まれた神の名は金山ビコの神、次に金山ビメの神。
次に糞に生まれた神の名はハニヤスビコの神、次にハニヤスビメの神。
次に、尿に生まれた神の名はミツハノメの神、次にワクムスヒの神。
この神の子は、豊ウケビメの神といいます。
そうして、イザナミの神は火の神を生んだのが原因で、ついに亡くなりました。
(天の鳥船より、豊ウケビメの神まで、合わせて八神)。

 すべてイザナギとイザナミの二柱の神が共に生んだ島、14島、神は35柱。
(これはイザナミの神がまだお亡くなりになる前に生みました。
ただ、オノゴロ島は生んだのではありません。
また、蛭子と淡島とは、子供の数には入れません。)

イザナギの命が
「いとしい私の妻を、子供一人に換えてしまったとは。」
と嘆いて、枕もとに腹這い、足元に腹這って声を上げて泣いた時に、
涙に生まれた神は、香山(かぐやま)の畝尾(うねお)の木の本に鎮座する、
泣沢女(なきさわめ)と名付けられた神です。

こうして、亡くなったイザナミの神は出雲の国と伯耆(ほうき)の国との境の
比婆(ひば)山に埋葬されました。
                                    (つづく)
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伊邪那美の命(3) 

夫が黄泉の国に迎えに来てくれた


イザナミは黄泉の国の食べ物を食べてしまった


イザナギの命は、亡くなってしまったイザナミの命に会いたいと思って、
黄泉の国に追って行きました。
イザナミの命はそれを聞いて、御殿の閉ざされた戸から出て、
夫を迎えに出ました。イザナギの命は説得して言いました。
「いとしい私の妻よ、私とそなたと作った国はまだ、出来上がっていない。
だから、戻ってくれ。」

イザナミの命が答えて、言いました。
「悔(くや)しいです。もっと早く来て下さったらよかったのに。
私は、黄泉の国の食べ物を食べてしまいました。
けれども、いとしいあなたがこんな所まで来て下さったなんて、畏れ多い事。
それなら、私も戻りたいから、しばらく黄泉の国の神と交渉して来ます。
それまで、私を見ないでください。」

亡骸から雷の神々が生まれる

 こうして、御殿の中に帰って行った妻を待つ間、
イザナギの命はひどく長く待たされて、待ちきれなくなってしまいました。

そこで、ミズラに結った髪の左に刺したユツツマ櫛(ぐし)の端っこの太い所を一本、
折って、火を灯して中に入って見ると、妻の亡骸にはウジがモゾモゾとたかっていて、
頭には大雷(おおいかづち)がいて、
胸には火雷(ほのいかづち)がいて、
腹には黒雷がいて、
陰部には析雷(さきいかづち)がいて、
左の手には若雷がいて、
右の手には土雷がいて、
左の足には鳴雷(なりいかづち)がいて、
右の足には伏雷(ふしいかづち)がいて、
合わせて八柱の雷神が生まれていました。

夫は逃げる

 イザナギの命はそれを見て恐れをなして逃げて帰りました。
イザナミの命は「私に恥をかかせた。」と言って、
すぐに黄泉の国のシコメを遣(つか)わして追い掛けさせました。

それを見て、イザナギの命が黒い髪飾りを取って投げ捨てると、
たちまちにブドウの実がなりました。
黄泉の国のシコメがこれを拾って食べている間に、逃げて行きましたが、
さらに追い掛けて来たので、
右のミズラに刺したユツツマ櫛を取って投げ捨てると、
たちまちにタケノコが生えて来ました。
シコメがこれを抜いて食べている間に、さらに逃げました。

この後、イザナミの命はさっきの八柱の雷神に
千五百(ちいお)の黄泉国の軍勢を添えて追わせました。
すると、イザナギの命は身に付けていた十拳剣(とつかのつるぎ)を抜いて、
後ろ手に振りながら逃げて行きました。

軍勢はさらに追いかけて来て、
黄泉ひら坂(よもつひらさか)のふもとに着きました。
その時、イザナギの命が、そこに、なっていた桃の実を三つ取って、
待ち構えて投げつけると、みんな逃げて帰りました。

そこで、イザナギの命はその桃の実に言いました。
「お前は、私を助けてくれたようにして、
葦原の中つ国にいるすべての青人草(あおひとくさ=人々)が
苦しい瀬に落ちて憂(うれ)い悩む時に助けてあげなさい。」
と言って、オオカムヅミの命と名を授けました。

夫から絶縁を言い渡される

 最後に、イザナミの命がみずから追いかけて来ました。
そこで、イザナギの命は千引(ちびき)の岩をその黄泉比良坂(よもつひらさか)
に引いて塞いで、その岩を間に置いて、互いに向かい合って立ち、
イザナギの命が絶縁の言葉を言い渡しました。

すると、イザナミの命は、
「いとしいあなた。こんな事をするなら、あなたの国の人々を一日に千人、
くびり殺します。」
と言いました。

そこで、イザナギの命が言いました。
「いとしいわが妻よ、そなたがそんな事をするなら、
私は一日に千五百の産屋を建てよう。」

こういう事から、一日に必ず千人死に、一日に必ず千五百人生まれるようになりました。

こうして、そのイザナミの命を名づけて、黄泉津大神(よもつおおかみ)と言います。
また、一説には、追いついたという意味で道敷(ちしき)の大神と名付けたと言います。

また、その黄泉の坂で塞いだ岩は道反(ちがえし)の大神と名付け、
また、塞がっている黄泉戸(よみど)の大神とも言います。
その黄泉比良坂(よもつひらさか)は、
今、出雲の国の伊賦夜(いふや)坂と言います。
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スペルボーン(Spellborn)