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猿田彦の神(2)

猿田彦の溺れ方は、
さそり座の沈むようすを物語にした?


さそり座のシッポにある赤い星は、シャウラ星と言います。
それをかつては猿田の星とか、猿女の星とか呼んだ時代があったそうです。
ニニギノ命がアメノウズメに「名前を貰ってお仕えせよ」と言ったのは、
この赤い星が二人の星だからでしょうか。

その赤いシャウラ星を含むさそり座を、猿田彦の手ではないかと想像すると、
天秤座ひらぶ貝に見えて来ました。

そんな仮説を立てて、星座ソフトで時間の経過を見ていたら、
思いがけない事が起こりました。
なんと、ひらぶ貝が猿田彦の手を挟んだまま、沈んで行ったのです。
おおお。この猿田彦の死は星座の運行だ…。

そこで、それを再現してみました。

200年の6月21日の南の空のようすです。

①夏の日が暮れると、南の空にまず赤い猿太星(シャウラ)が出て来ます。
赤い星から連なる青い星が猿田彦の腕と手です。
その指をひらぶ貝(てんびん座)が挟んでいます。
ひらぶ貝の方が高い所にあります。
この二つの位置関係を覚えておいて下さい。

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②時間が経過するにつれて、ひらぶ貝のほうが高度を下げて来ます。
4時間経後には猿太星とひらぶ貝が並びます。

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③さらに2時間経つと、ひらぶ貝が先に沈んで行きます。
続けて猿太星が引っ張られるようにして、沈んでいきました。
そのあと、天の川の星雲や星団が次々に沈んで行きます。
その星団はまるで泡のように見えました。

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昔は夜空の星を覚えるために、こんな神話を作りだしたのではないでしょうか。
砂浜で、大人がそんな話をしてあげると、
子供が喜んで聞いているようすが目に浮かびます。

ピンク色の星座はアメノウズメの髪飾りです。
そうすると、夫を必死で引っ張って止めようとする、
悲しい姿が浮かびます。
神話の続きにはこんな部分もあったのかも知れません。
(アメノウズメの所でも、同じ話を紹介しています。
しばらくしたら、そちらを整理します。)
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天宇受賣神(Ⅱ)

  古事記に星の神話が挿入されていましたよ! 

天宇受賣の神 
天の岩戸開きで踊ったこの踊りが神楽の始まりだと言われています。
そこから、芸事・芸能の神様として慕われています。

猿田彦の神
 天孫降臨の時に道案内をしたことから、道を開く神として、
人々に信仰されています。
 神輿が出る時に、先頭を走る赤いお面の神様がこの神です。

荒立(あらたて)神社
この二人は結婚したのですが、なんと、二人の新婚の住まいが伝わっています。
宮崎県高千穂町の荒立神社です。

二人の結婚のための大急ぎでアラアラ建てたことから、
或いは、切り出したばかりの荒木で建てた事から、
アラタテ神社と言うそうです。

神楽殿には四方に白い切り紙が天井から下げられていました。
岩戸神楽を伝える神社です。


 
猿田彦の溺れ方は星を象徴していた? 


訳をしていて、猿田彦の死が唐突に出て来て困りました。
また、海に沈む様子がやけに詳しく書いてあります。
これまでとは文の流れが全く違います。

いったいこれは何なのだ。

考えていたら、猿田彦は夜空に輝く星だという説があるのを
思い出しました。

星の事なら真鍋大覚氏です。
そこで、『儺の国の星 拾遺』を調べてみると、
「猿太(さるた)の星」が紹介されていました。
「猿女(さるめ)の星」ともいうそうです。
猿田彦の星です。

これはさそり座の毒針の尾の部分に輝くシャウラ星の事です。

シャウラ星
さそり座は「スセリ姫」の所で書いたように、
南の地平線ちかくを通る星座で、天頂に上る事はありません。

さそり座の赤いアンタレスは地平線にほぼ平行に運行して、
沈んで行きます。
このシャウラ星はさらに、下の方を通ります。

地平線のすぐ上を通ってすぐに沈んでしまうのです。
この星を「猿太の星」と昔の人は呼んでいたのです。


星座ソフト、ステラ・シアター・プロで調べると、さそり座の周りには
天の川や星雲や二重星などが沢山ありました。
夏至の頃に、日が暮れてすぐに南の空を見ると、
そこに星が集中しています。

肉眼でも、金の砂のように見えるそうです。
星空の中でも、一番華やかな所なのです。
その中に白い1等星のシャウラが輝いています。

猿太の星か…。

それにしても、泡がぶくぶくと上がったり、割れたりと、
神話は細かい所にこだわっているなあ。

地平線を水平線に置き換えると見えて来ました。
猿田彦の星の周りの沢山の星々が泡に見えて来ました。

もしかしたら、猿太の星が沈む様子を猿田彦が溺れる神話にした?
うん。これってなかなかいいアイデア。
(と、自画自賛)
こういう解釈です。

「猿太の星」が水平線に消える瞬間を「底に届く御魂」、
沈んだ後、たくさんの星雲たちが沈んでいく様子を「つぶたつ御魂」、
続けて、射手座周辺のにぎやかな恒星や星雲の集団が一つ一つ
沈んで行く様子を、「アワサク御魂」と名付けた。

こうして、夏の時間を計る目安とした。

いかがでしょうか。
 
それを頭に入れて、溺れた所を読み直してみましょう。

その猿田彦の神(星)がアザカの地におられる時に、漁をして、
ひらぶ貝に手を挟まれて、海に沈んで溺れました。

それで、海の底に沈まれた時の名を底ドク御魂と言い、
海水がぶくぶくと上がってくる時の名を、ツブタツ御魂と言い、
泡が水面で割れる時の名を、アワサク御魂と言います。


こうして読み返すと、唐突に挿入された猿田彦の死は、
星の運行の伝承を書き遺したと考えられます。

地平線でなく、水平線ですから、海人族たちの伝承だと分かります。
いかにも神話らしくなりました。

この猿太の星の運行を、子供たちに教えるために、
猿田彦がぶくぶくと泡を立てながら沈んで行くお話にして、
聞かせたら、喜んで一遍で覚えてしまいます。

これは夏至を中心とした、夏にだけ見られる現象です。
2000年前も、現在もほぼ同じような姿で見る事が出来ます。


で、なんでそんなにルナははしゃいでるの?
と言われそうですが…
日本の神話には星の神話がないと言われていたのです。

これがずっと不満だったのです。
若いころから。(今はもう若くはナイ)
変な娘だんたんですねえ。
で、新たな謎が生まれて、(Ⅲ)それにでチャレンジします。


                       (Ⅲにつづく)
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天宇受賣神 (Ⅲ) 星空の猿田彦とひらぶ貝

『古事記』の中の「星の神話」

それでは、「ひらぶ貝」は何でしょうか?

「ひらぶ貝」がどんな貝なのか、今まで分かっていません。
人間を引きずり込むほどの大きな貝?
想像しにくいです。

でも猿田彦の星を沈ませるものとして考えると、
探すターゲットが星になります。
「ひらぶ貝」はさそり座に先行して沈む星ではないかと考えました。

猿田彦を引きずり下ろす星座はどれ?

星座ソフトを紀元200年の夏至の日にセットしてみました。
(別に200年にこだわる理由はないのですが)

日が暮れて南の空を見ると、さそり座のSの字が現れて来ました。
堂々たる姿です。
そのさそりのハサミの先に、てんびん座が大きなコの字を描いていました。
これだ!
まるで、二枚貝が向き合っているように見えます。

そして、さそり座を猿田彦の姿に置き換えてみると、
さそりのハサミが猿田彦の手のように見えて来ました。
その手の先に大きな二枚貝があります。
まるで、二枚貝に手をつっこんでいるように見えます。
なるほど!

時間を進めてみます。

すると、だんだん、てんびん座の方が先に傾いて行きました。
シャウラ(猿太の星)は低いままですが、
てんびん座の方がどんどん高度を下げて行き、
最後にはシャウラより低くなって、先に沈みました。

それに引きずられるようにして、シャウラも沈んで行きました。
てんびん座はひらぶ貝に違いないと考えました。


西暦200年の6月21日の南の空のようすです。

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夏の日が暮れると、南の空に猿太星(シャウラ)が輝く。
それより高い所にひらぶ貝(てんびん座)がある。

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4時間経つと、猿太星とひらぶ貝が並ぶ。

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さらに2時間経つと、ひらぶ貝が先に沈んで行く。
続けて猿太星が沈んでいく。
そのあと、銀河の星雲団が次々に沈んで行く。
いかがですか。


この星座の運行と古事記の猿田彦の溺れるようすとを組み合わせて
もう一度、話を書き換えてみます。

夏の遅い日が暮れて南の空を見ると、
猿田彦の上にひらぶ貝が大きな口を開けています。
猿田彦の手がその貝に伸びています。
まるでひらぶ貝が猿田彦の手を挟んでいるように見えます。

時間が経つと、ひらぶ貝はだんだん高度を下げていき、
ついに猿田彦よりも先に沈んでいきました。
その直後に猿田彦も引きずられるようにして
水平線の中に沈んで行きました。

その時の猿田彦を「そこどく御魂」と言い、
続けて沈んで行く星や星雲、星団の事を『ツブタツ御魂』と言い、
刻々と沈む星雲などを、『アワサク御魂』と言って、
時刻を測る目安としました。


猿太の星は猿女(さるめ)の星とも言ったそうです。

物語の中でも、アメノウズメの命の流れをくむ巫女さんたちの事を
猿女の君と呼んでいました。

「猿女の星」の由来は古代中国で真夏の夜の舞踊があった事から
来ているそうです。
夏至にその星を祭って巫女が踊ったのでしょうか。

「猿女の星」のすぐ傍にある「冠座」を
日本では「日影のかづら」と言ったそうです。
アメノウズメが付けた髪飾りもそう言うそうです。

大まかにいえば、中国ではシャウラを夏至に踊る巫女と呼び、
古代日本では猿田彦だと呼んだのでしょう。

昔は、国境はありませんでした。
船を操る海人族たちが、いろんな民族の星の神話を取り混ぜて、
あたらしく、猿田彦とアメノウズメのお話を作りだしたのかもしれませんね。

こうして、猿田彦とアメノウズメは、夜空でいつも一緒です。
                            

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