アメノウズメの神 (Ⅲ)

天宇受賣神 (Ⅲ) 星空の猿田彦とひらぶ貝

『古事記』の中の「星の神話」

それでは、「ひらぶ貝」は何でしょうか?

「ひらぶ貝」がどんな貝なのか、今まで分かっていません。
人間を引きずり込むほどの大きな貝?
想像しにくいです。

でも猿田彦の星を沈ませるものとして考えると、
探すターゲットが星になります。
「ひらぶ貝」はさそり座に先行して沈む星ではないかと考えました。

猿田彦を引きずり下ろす星座はどれ?

星座ソフトを紀元200年の夏至の日にセットしてみました。
(別に200年にこだわる理由はないのですが)

日が暮れて南の空を見ると、さそり座のSの字が現れて来ました。
堂々たる姿です。
そのさそりのハサミの先に、てんびん座が大きなコの字を描いていました。
これだ!
まるで、二枚貝が向き合っているように見えます。

そして、さそり座を猿田彦の姿に置き換えてみると、
さそりのハサミが猿田彦の手のように見えて来ました。
その手の先に大きな二枚貝があります。
まるで、二枚貝に手をつっこんでいるように見えます。
なるほど!

時間を進めてみます。

すると、だんだん、てんびん座の方が先に傾いて行きました。
シャウラ(猿太の星)は低いままですが、
てんびん座の方がどんどん高度を下げて行き、
最後にはシャウラより低くなって、先に沈みました。

それに引きずられるようにして、シャウラも沈んで行きました。
てんびん座はひらぶ貝に違いないと考えました。


西暦200年の6月21日の南の空のようすです。

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夏の日が暮れると、南の空に猿太星(シャウラ)が輝く。
それより高い所にひらぶ貝(てんびん座)がある。

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4時間経つと、猿太星とひらぶ貝が並ぶ。

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さらに2時間経つと、ひらぶ貝が先に沈んで行く。
続けて猿太星が沈んでいく。
そのあと、銀河の星雲団が次々に沈んで行く。
いかがですか。


この星座の運行と古事記の猿田彦の溺れるようすとを組み合わせて
もう一度、話を書き換えてみます。

夏の遅い日が暮れて南の空を見ると、
猿田彦の上にひらぶ貝が大きな口を開けています。
猿田彦の手がその貝に伸びています。
まるでひらぶ貝が猿田彦の手を挟んでいるように見えます。

時間が経つと、ひらぶ貝はだんだん高度を下げていき、
ついに猿田彦よりも先に沈んでいきました。
その直後に猿田彦も引きずられるようにして
水平線の中に沈んで行きました。

その時の猿田彦を「そこどく御魂」と言い、
続けて沈んで行く星や星雲、星団の事を『ツブタツ御魂』と言い、
刻々と沈む星雲などを、『アワサク御魂』と言って、
時刻を測る目安としました。


猿太の星は猿女(さるめ)の星とも言ったそうです。

物語の中でも、アメノウズメの命の流れをくむ巫女さんたちの事を
猿女の君と呼んでいました。

「猿女の星」の由来は古代中国で真夏の夜の舞踊があった事から
来ているそうです。
夏至にその星を祭って巫女が踊ったのでしょうか。

「猿女の星」のすぐ傍にある「冠座」を
日本では「日影のかづら」と言ったそうです。
アメノウズメが付けた髪飾りもそう言うそうです。

大まかにいえば、中国ではシャウラを夏至に踊る巫女と呼び、
古代日本では猿田彦だと呼んだのでしょう。

昔は、国境はありませんでした。
船を操る海人族たちが、いろんな民族の星の神話を取り混ぜて、
あたらしく、猿田彦とアメノウズメのお話を作りだしたのかもしれませんね。

こうして、猿田彦とアメノウズメは、夜空でいつも一緒です。
                            

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