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大国主神(5)スセリ姫

                                   【古事記】   
大国主神(5)

スセリ姫

 また、大国主神の大后・スセリ姫は大変嫉妬しました。
そこで大国主の命は困って出雲から、倭国(やまとのくに)に上って住もうとして、旅の支度をして出発する時に、片方の手は馬の鞍にかけて、片足はアブミに載せて、歌いました。

  ぬばたまの実のような、真黒な衣をすっきりと装って、
  沖の水鳥が首を曲げて胸を見るように、
  わが姿を見ると、似合っていない。
  浜辺の波がさっと引くように脱ぎ捨てよう。

  カワセミの羽根のように青い衣をすっきりと装って、
  沖の水鳥が首を曲げて胸を見るように
  わが姿を見るが、似合わない。
  浜辺の波がさっと引くように脱ぎ捨てよう。

  山の畑に蒔いて育てたアカネをついて
  作った汁で染めた赤い衣をすっきりと装って、
  沖の水鳥が首を曲げて胸を見るように、
  わが姿を見ると、これはいい。

  慣れ親しんだ妻のミコトよ。
  群鳥のように私が他の者たちと一緒に行ってしまうと、
  紐でつながれた鳥のように、みんなに引っ張られて行ってしまうと、
  泣きませんとそなたは言っても、
  山のあたりの一本のススキのように
  うなだれてそなたが泣く様子は
  朝の雨がいつのまにか霧になるように
  いつまでも涙に濡れて乾かないだろうよ。

  若草のようにしなやかな妻のミコトよ。
  私の語る事はこれだけだよ。

すると、スセリ姫は大きな杯を持って、大国主の命の所へ行って、捧げて歌いました。

  八千矛の名を持つ神の命である、私の大国主の命さま。
  あなたは男なので、巡って行くどの島の岬でも、
  廻って行く磯の崎でも、行き先々に
  若草のように若々しい妻を持つのでしょうが、
  私は女なので
  あなた以外には男はいません。
  あなた以外には夫はいません。

  寝所の綾織のカーテンの下で、
  絹のような繊維で作った布団の柔らかな肌触りの中で、
  タクの木で織った布の布団がさらさらとする中で、
  泡雪のように白く若々しい私の胸を
  タクの木で作った強い綱のように白い腕で、
  手で抱き締め、抱き締めては、ほどいて、
  玉のようなあなたの手と私の手を枕にし合って、
  足をからませて寝て下さい。
  さあ、豊御酒(とよみき)を召し上がれ。

それを聞いて、大国主の命は旅を取りやめて、二人で永遠の愛を誓って酒を酌み交わし、腕を組みあって、今にいたるまで、ここに鎮まっています。これを神語(かむがたり)と言います。          


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